スポンサーの前では負けられないとばかりに必殺のフロントサイドエア一を炸裂させてJPSA初優勝を勝ち取った大橋海人。
30分間のファイナルヒートの最終10分間で男子優勝の決着がついた。小雨がぱらつく肌寒い景色のなかで、大橋海人、椎葉順、仲村昭太、そして飛田剛という4人のプロフェッショナル達によるデッドヒートは、終盤の5分間で大興奮のクロスファイアー状態。椎葉がエアリアルを決めれば、仲村昭太が負けじとエアリバースでやり返し、それに負けてなるものかと大橋海人が数少ないレフトブレイクを見つけ出して必殺のエアーミサイルを炸裂。プロ転向後から結果を残せず苦しんできた大橋が嬉しいJPSA初優勝を勝ち取った。
負けてなるものか。大橋海人の集中力が優勝をたぐり寄せることにつながった。ファイナルヒート序盤はセットが入らず、展開が読めない中で、まず最初は飛田、そして次は仲村からインターフェアを奪い、一歩も後には引かない気迫とクレバーなポジショニングで大橋が優位に立った。特に同じレフティーの飛田をインターフェアに追い込んだことは大きく、レフトブレイクの主導権を握ることによって、最後の最後に優勝を決めたレフトブレイクにつながっていった。
敗れた仲村と椎葉の悔しさは計り知れない。とくにインターフェアを犯しながら残り10分ではハイポイントを決めてトップに立った仲村。そしてエアリアルだけでなくスピードに乗ったバーティカルリップを連発して最後の最後に大橋を逆転したかに見えた椎葉。優勝した大橋を囲む表彰台の上でのシャンパンファイトも白熱。しかし両者の笑顔にはプロの勝負の厳しさを思い知らされた。
女子の優勝争いは、そのままグランドチャンピオン争いというメンバーで戦われ、セミファイナルまで絶好調で大本命と思われた大村奈央がまさかのスロースタートで後手に回り脱落。ルーキーの野呂玲花と宮坂桃子が着々とライドを重ねるなかで、グランドチャンピオンの庵原美穂が一歩も引かないリッピング勝負で応戦。庵原は最後まで集中力を切らさず攻め続けて今季初優勝をつかんだ。第1戦、第2戦と不本意な結果が続いた後の優勝だけに、表彰台の上で両親と一緒に嬉しさをかみしめる庵原の笑顔が素敵だった。
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